君がいなくなって初めて幸せの意味を知った・・・

雪白の月

長い1日の仕事を終えやっとのことで帰宅した。

「ただいま〜」

そういうといつも笑顔で迎えてくれたはいない・・・

ベランダに出ると雪白の月が出ていた。

「もう癖なんかな〜誰もいいひんのに・・・」

1人でいると思い出してしまうのことを・・・。

あの頃は毎日が楽しかった。



「ただいま〜」

「おかえり、剛。ご飯食べた?それともお風呂にする?」

「ご飯にするわ」

「わかった、今日はねぇ剛の大好きなハンバーグだよ」

「ほんま〜嬉しいわ」

付き合い始めて間もない頃はこうやってと一緒にご飯を食べたり他愛も無い話をして楽しんでいた。

なのに、いつからだろう・・・この愛が窮屈に思えるようになったのは・・・

その頃は仕事のトラブルなどで精神的にまいっていた。

何もかもが嫌になっていた。

「剛、大丈夫?なんか最近元気ないよ。私で良かったら話聞くけど」

からの優しい言葉にも俺は・・・

「なんもないわ」

冷たい返答しか返せなくなっていた・・・

の傷ついた顔など見てみぬフリをして・・・

自分のプライドがそうさせたのかもしれない・・・

徐々にが家に来る回数は減っていきメールや電話さえも・・・

そんな日々が続いたある日家に帰るとがいた。

の顔は今にも涙が溢れそうになりながらも俺の顔を見て

「久しぶり・・・今日は話があってきたの・・・」

「話?」

「うん・・・私と別れて欲しいの・・・他に好きな人が出来たから・・・剛は私に頼ってくれなかったけど、その人は違うの・・・私のこと一番に考えてくれる・・・剛といると辛い・・・
 だからあたしと別れてください。」

はそういうと泣きながら家を飛び出して行った。

その日は雪白の月が二人を照らしていた・・・



今でもの最後の泣き顔が忘れられない・・・

あの時別れを自分から言ってたらこんなに辛くはなかったかも知れない・・・

もう少し大人の心を持ってたらこんな終わり方じゃなかったかな・・・

今気付いたよ。がいるだけで幸せだったって・・・・・・ごめん・・・そしてありがとう・・・



空には今も雪白の月が輝いている・・・

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