St.Valentine

今日はバレンタイン。

毎年Shockという大舞台をやっている彼には関係のない日・・・そう思っていた・・・

普段会うこともなかなか出来ないのにましてやバレンタインだからって特別に会ったり出来ない・・・

前までは彼にあげようとチョコを作っていたけど結局渡せずに自分で食べるという寂しい結果の繰り返しだったので2年程前からはやめた。

でも、今年は彼のある一言で作る事にした。

それは、前日の朝のテレビで光一が映っていたことから始まった。

SHOCKのマスコミ公開が前日に行なわれたらしく彼がたくさんのフラッシュを浴びながらコメントをしていた。

そこである記者がバレンタインの予定はという質問をして彼はこう答えた。

「出演者には毎年貰っています。義理チョコですけど・・・(笑)本命チョコ?貰ってみたいですねぇ。貰った事ないですから(笑)」

私はそれを見て胸が痛くなった。

普段から素直になれない私は光一に好きという言葉を言った事がないし、作っていたチョコだって素直になれないばかりに渡せなかった。

そんな私を光一は文句も言わずに理解してくれていた。

でもやっぱりたまには素直にならないと駄目だよね。光一のためにも。

甘いのが駄目なのでビターにして少しお酒を混ぜたチョコレート。

ラッピングを女の子らしくして手紙も添えた。

「さて準備も出来たし行くかぁ」

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「はぁ・・・今日も疲れた・・・風呂入ってはよ寝よ。」

舞台を終えた俺はふらふらになりながら帰宅した。

リビングに行くとテーブルの上に小さい箱が置いてあった。

可愛らしいラッピングをされていてその箱を開けると中にはチョコが入っていた。

こんなこと出来るのはしかいない・・・

疲れている顔も自然と緩んでいく。

「あいつ・・・わざわざ作ってくれたんや(笑)」

口に含むと程よい甘さと苦味そしてお酒の味が広まる。

「ん?何やこれ?」

箱の隙間には紙が挟まっていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

今日俺はの愛に包まれながらいつもより深い眠りについた。


”Dear光一
  
 舞台お疲れ様。毎日怪我をしないように家で祈っています。

 今日はバレンタインだね。光ちゃんと付き合って初めて渡すチョコです。

 口に合うかわからないけど良かったら食べてください。

 いつも素直になれない私だけど今日は素直になりたいと思います。

                        愛してるよ 光一

                             FROM 

END